イングランドのセットプレーを考察する
今大会ベスト8まで勝ち上がったイングランド。
躍進を支えている大きな要因の一つが「セットプレー」です。今大会イングランドは9ゴールを挙げていますがそのうち4ゴールがCK・FKから生まれています。さらにPKでの3ゴールの内2つはCKからファールをもらいました。
なせこれほどまでに今大会のイングランドのセットプレーは脅威になっているのだろうか。それぞれの試合で考察していきたいと思います。
この試合での狙いとして最もわかりやすいのはこのツイートでしょう(筆者よりも遥かにわかりやすい)
イングランドvsチュニジアよりケインのファー詰め。コーナキックでイングランドが徹底していたのはペナルティスポット付近で勝負すること、そしてケインを競り合いに参加させず、ファー詰めだけやらせること。7本のCKのうち4本がケインの場所にきて、そのうち3本触って2得点。非常に参考になる戦術。 pic.twitter.com/ffNlIXu4Hv
— たむらコーチ (@tam_futbol) June 21, 2018
イングランドは徹底して同じような戦術で戦いました。普通ならば高身長でヘディングの強いケインは競り合いに使いますが、あえて使わずフリーになりやすい場所で使うことによってケインの決定力を遺憾なく発揮させました。
パナマ戦
戦術家たちの間でも話題になっているのがCKからストーンズが決めたゴール。
ヘンダーソンがニア、スターリングがファーに走ってスペースを作ると共にヤングがスクリーンしてストーンズのマークを外す
— はる⊿ (@nogi_a0810) July 6, 2018
バスケみたいで面白いw pic.twitter.com/tUNKUZ0ez9
このCKで行われているのはバスケットボールでは「スクリーン」と呼ばれるプレーです。
簡単に言うとボールマンをマークする相手選手に対してスクリーナーと呼ばれる選手が壁の役割を果たすことによってボールマンをフリーにする戦術です。
ちなみに佐々木クリスさんのツイートにもある通りこれはピック&ロールではありません。オフボールスクリーンです(ピック&ロールの方がみんな知ってて分かりやすいかもしれませんが)
英国躍進もあって話題になっている記事ですね。良くまとめられていると感じますが、図解で紹介されているプレーはバスケで言うオフボールスクリーンのセットプレーであってピック&ロールではないです…ただスペーシングの作り方に親和性があり、交流が盛んな両競技に改めて光が当たるのは嬉しいですね https://t.co/GKokuqZbkF
— Chris Sasaki (@chrisnewtokyo) July 5, 2018
動画を見てわかる通りスクリーンには様々な形がありますが、サッカー界ではまだここまでは浸透していません。しかし今大会を機に変わっていく可能性もあります。
コロンビア戦
この試合でも今までとは違うセットプレーを見せます。
相手のCBコンビ(ミナ&Ⅾ・サンチェス)の空中戦の強さを考えて中央では勝負せずにファーサイドのマグワイアにボールを送り込みその折り返しを狙います。しかしこれがうまく機能しなかったイングランドは別の作戦を取ります。
最初にC・サンチェスの背後に選手を集めることによってケインが背後に走り込もうとしたときにブロックされるのではないかという印象を彼に与えます。その結果反応が少し遅れたC・サンチェスはケインを後方から追いかける形となり結果的にファールに繋がりました。
以上が今大会のイングランドのセットプレーの考察です。このように細かく分析すると奥が深いセットプレー。未開拓の場所でありこれから発展していくであろう場面です。さらにセットプレーは他のサッカーの場面に比べてほかのスポーツとの関係性も大きい場面です。戦術家たちの間でもバスケットボールやハンドボールといったところからヒントを得ようとしています。
これからのセットプレーの発展から目が離せません。